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熊谷 友多
放射線化学(インターネット), (107), p.77 - 78, 2019/04
過酷事故および直接地層処分における核燃料の化学変化を理解する基礎として、二酸化ウランの水溶液中での酸化的溶解反応を調べた。この反応は、使用済核燃料から発される放射線が周囲の水を分解し、過酸化水素などの酸化剤を発生されることから始まる。この酸化剤が二酸化ウランの表面を水溶性の高い6価の状態とすることで、核燃料の母材である二酸化ウランが溶解する。本研究では、この酸化と溶解の反応過程において、過酸化水素の反応が二酸化ウランの表面に反応中間体を形成する可能性を調べた。そのために、反応過程における過酸化水素濃度の減少とウラン濃度の増加を時間分解で測定した。その結果、過酸化水素を高濃度にすることで、二酸化ウラン表面での過酸化水素の分解が活性化されること、一方で反応速度が低下することが分かった。これらの結果は、二酸化ウランの表面の反応性の変化を示しており、反応中間体が表面に蓄積されることを示唆する。
平塚 浩士*; 岡本 貴博*; 黒田 聡*; 奥津 哲夫*; 前岡 裕徳*; 田口 光正; 吉永 鉄大郎*
Research on Chemical Intermediates, 27(1-2), p.137 - 153, 2001/02
被引用回数:9 パーセンタイル:18.52(Chemistry, Multidisciplinary)凝縮相においてベンジルクロライドの光分解を行い反応中間体について分光学的に研究を行った。ベンジルクロライドを含むエタノールを77Kで紫外線照射し、分光測定したところ2種類の反応中間体(塩素がオルト位に転移したベンジルクロライドの異性体と、ベンジルラジカル)が確認された。また、これら2種類の中間体の生成は、室温において紫外線レーザー光照射直後の過渡吸収測定によっても確認された。これら中間体は、励起状態のベンジルクロライドが溶媒かご中でベンジルラジカルと塩素原子となったものが、かごを抜けきれずに塩素がオルト位に再結合した、あるいはかごを抜け出した結果生じたと考えられる。
水田 幸男*; 森下 憲雄; 桑田 敬治*
Proceedings of 2nd Asia-Pacific EPR/ESR Symposium, P. 14, 1999/11
パルスESR計測においてレーザー光とマイクロ波パルスの同期を取ることにより、光励起直後に発生する化学反応中間体の直接検出が可能となった。本研究では、ラジカル重合反応の初期過程を明らかにすることを目的として、開始剤であるTMDPOを光開裂させることで発生する非常に反応性の高いDPOラジカルを用いて、種々のモノマーへの付加反応を生じさせ、結果として惹起される伝播ラジカルをFT-ESR検出により検出した。これら中間体ラジカルは、従来、cw時間分解ESR法により検出されてきたが、FT検出することにより光励起直後のESR信号変化を、従来より、一桁短い時間分解能で検出することが可能となった。これにより、種々のモノマーに対するDPOラジカルの付加過程における反応速度定数が、はじめて直接的に決定された。
熊倉 稔
JAERI-M 9336, 403 Pages, 1981/02
準熱平衡状態における含酸素化合物のイオン-分子反応およひイオンのエネルギー状態について飛行時間型質量分析計を使用して研究を行った。イオンの並進エネルギーについて新しい測定方法を見出し、この方法によって含酸素化合の電子衝撃により生成されるイオンについて系列的に測定した結果、分子構造と並進エネルギーとの間に関連性があることを明らかにした。イオン-分子反応については放射線化学反応の関連において分子構造的観点から反応機構を研究し、縮合-脱離反応においては2つの反応機構があり、その反応はイオン構造によって著しく影響をうけることが明らかになった。また、イオン-分子反応の反応速度定数はイオンのエネルギー状態、および分極率によって影響をうけること、また、多原子分子におけるクラスター反応の速度定数は大きくそしてクラスターイオンは振動の自由度の増大により安定化されることが明らかになった。
熊倉 稔; 荒川 和夫; 杉浦 俊男
Canadian Journal of Chemistry, 56(4), p.533 - 537, 1978/04
被引用回数:6アセトアルデヒド分子イオンとトリオキサンとの縮合一脱離イオン分子反応によってCHO,CHO,CHOが生成された。この反応は反応中間体の分解過程を経て進行し、ホルルアルデヒド中性分子の脱離ガ起こることが明らかになり、また、中間体の構造は正電荷がアセトアルデ分子成分に極在化された直線型であることが判明した。中間体イオンの分解過程において若干の水素原子の再配列が起こることが推定された。
熊倉 稔; 杉浦 俊男
Zeitschrift fr Naturforschung, A, 32(12), p.1533 - 1540, 1977/12
メチルエーテルとトリオキサン二成分系におけるイオン分子反応において生成されるイオンのイオン化効率曲線はRPD法により測定された。主たる生成物はのイオン構造はCHOCH(CHO),CHOCH(CHO)H,CHOCH(CHO),CHOCH(CHO)H(n=1~3)でこれら直線系である。これらのイオンはCHOCH,CHOCHの付加および縮合脱離反応により生成される。反応中間体の分離過程においてはトリオキサン分子成分からの中性分子生成物が主として生成されることが明らかになった。CHOCHとCHOCHの反応性について反応速度定数を求め考察した。